『サイダーのように言葉が湧き上がる』×『映画大好きポンポさん』イシグロキョウヘイ監督×平尾隆之監督クロストークイベント イベントレポート到着!
『サイダーのように言葉が湧き上がる』のイシグロキョウヘイ監督と、『映画大好きポンポさん』の平尾隆之監督によるクロストーク付き上映会が12月21日に新宿ピカデリーで開催され、同世代にあたる両監督がお互いの作品の感想や“90分以内の映画”について語り、意気投合。“同志”としてエールを送り合った。
『サイダーのように言葉が湧き上がる』は、人とのコミュニケーションが苦手な俳句少年とコンプレックスを隠すマスク少女が言葉と音楽によって距離を縮めていく姿を描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー。一方の『映画大好きポンポさん』は、映画を愛する青年と映画に愛された女性が映画制作を通して自分を見つけ出す、映画愛に満ちあふれた物語が展開する青春“ものづくり”フィルムだ。
この日が初対面となったが、ステージ裏でもすっかり意気投合した様子の2人。お互いの作品の感想を明かすことになると、平尾監督は「『サイダーのように言葉が湧き上がる』は本当にすてきな作品。ビジュアルも物語も練られ、計算し尽くされたものだった。伝えているものもキラキラとしていて、心の中にずっとしまっておきたいような作品。感動しました。名作です」と大絶賛。
「ありがとうございます!」と笑顔を見せたイシグロ監督は、公開時に『映画大好きポンポさん』を映画館に観に行ったという。コロナ禍ではありながら劇場にはたくさんの観客が駆けつけていたそうで、「『サイダーのように言葉が湧き上がる』が公開される前だった。翌月に自分の映画が公開されるけれど、同じようにお客さんが呼べるのかと不安になった」と率直な思いを吐露して、平尾監督の笑いを誘っていた。続けて「当然ながら面白い」と『映画大好きポンポさん』を称えたイシグロ監督。「僕は、作り手側の視点で映画を観ていた。ジーンくんよりもポンポさんに感情移入した。ポンポさんは作り手に近いプロデューサー。ポンポさんの決断力が物語のフックになっているところもすばらしい」と語っていた。
どちらの作品も“上映時間90分以内”という共通点もあるが、司会からの「映画の上映時間は90分以内がベストだと思うか?」という質問に対して、平尾監督は「映画は90分じゃなくてもいいと思っている。作品と物語には適した時間がある。監督によっても違って、その監督にとって自分のタイミングやリズムに一番ぴったりくる時間があるはず。無理に詰め込むよりも、その作品、その人に合ったタイミングやリズムでやった方が伸び伸びとした映画になると思います」と持論を展開。
イシグロ監督も「そうなんですよね。作品が求める尺がある。ゆったりとすべき作品とギュッと圧縮すべき作品、どちらもある」と同調しつつ、「90分という制限があったほうが、いい映画になることもある」とコメント。「『サイダーのように言葉が湧き上がる』は90分以内で作ってほしいというオーダーがあったんですが、コンテにした段階で尺が伸びてしまった。テレビアニメをやってきた経験上、こうやれば90分になるだろうと、二言だったセリフを一言にしたり、エピソードをつなげたりして圧縮した。本作は90分という制限があったからこそ、作品が求める尺になった」と振り返る。平尾監督もシナリオを仕上げた段階で仮アフレコを試みた際には、上映時間が「100分を超えてしまった」と述懐。「90分を超えたあたりから、これ以上長くなるとだれてしまうなという感覚があった」と作品のリズムを考えると、どちらの映画も90分以内が適した時間だったと話していた。
また美術面についても、共感を寄せた2人。平尾監督は「本来のアニメーションの良さって何だろうと考えると、実写では描けない、作り手のダイレクトな気持ちを絵として表すことができること。リアルとして考えれば暗い背景にすべき場面であっても、キャラクターの気持ちがキラキラとしていたら、黒を使わなくてもいい。それがキャラクターの気持ちを表現したり、作品の世界観になると思っている」とこだわりを吐露し、「イシグロさんも作品ごとにいろいろと試されていて、色の考え方にもこだわりがありますよね」と問いかけた。
イシグロ監督は「考え方は同じです」とうなずきながら、「アニメって何なんだ?と考えた時に絶対に絵なんです。アニメの本質は、絵にある」とキッパリ。「絵というのは、必ず意図を持って描くもの。意図を持って描けるのならば、全部に意図を込めればいい。悲しい気持ちになっているキャラクターがいれば、背景でもそれを表現してしまえばいい。目の前に見えているものを、アップデートできる自由がアニメには備わっている。表現の方法は無限大。それくらい自由でいい。それくらいやらないと面白くない」と熱弁すると、平尾監督は「それが大成功しているのが『サイダーのように言葉が湧き上がる』。(アニメとして描くときに)大きい飛躍をしているけれど、美しい。感動を覚えました」と再び賛美していた。
この日は会場に集まった両作品のファンに向けて、プレゼント大会も実施。監督陣が抽選ボックスより座席番号を引き当て、当選者にはポスターやパンフレットなどサイン入りグッズがプレゼントされた。貴重なグッズに会場からも拍手が上がっていたが、最後には平尾監督が「どちらも同じ時期に公開され、コロナ禍という苦しい中で戦い抜いた同志。これからも両作品とも応援してくださるとうれしい」、イシグロ監督が「こうやって集まれることが珍しくなってしまった世の中。互いの監督作品について話しながら、エールを送り合える場を設けられたことがとてもうれしい」と心を込め、大盛況のうちにイベントは幕を閉じた。
この日が初対面となったが、ステージ裏でもすっかり意気投合した様子の2人。お互いの作品の感想を明かすことになると、平尾監督は「『サイダーのように言葉が湧き上がる』は本当にすてきな作品。ビジュアルも物語も練られ、計算し尽くされたものだった。伝えているものもキラキラとしていて、心の中にずっとしまっておきたいような作品。感動しました。名作です」と大絶賛。
「ありがとうございます!」と笑顔を見せたイシグロ監督は、公開時に『映画大好きポンポさん』を映画館に観に行ったという。コロナ禍ではありながら劇場にはたくさんの観客が駆けつけていたそうで、「『サイダーのように言葉が湧き上がる』が公開される前だった。翌月に自分の映画が公開されるけれど、同じようにお客さんが呼べるのかと不安になった」と率直な思いを吐露して、平尾監督の笑いを誘っていた。続けて「当然ながら面白い」と『映画大好きポンポさん』を称えたイシグロ監督。「僕は、作り手側の視点で映画を観ていた。ジーンくんよりもポンポさんに感情移入した。ポンポさんは作り手に近いプロデューサー。ポンポさんの決断力が物語のフックになっているところもすばらしい」と語っていた。
どちらの作品も“上映時間90分以内”という共通点もあるが、司会からの「映画の上映時間は90分以内がベストだと思うか?」という質問に対して、平尾監督は「映画は90分じゃなくてもいいと思っている。作品と物語には適した時間がある。監督によっても違って、その監督にとって自分のタイミングやリズムに一番ぴったりくる時間があるはず。無理に詰め込むよりも、その作品、その人に合ったタイミングやリズムでやった方が伸び伸びとした映画になると思います」と持論を展開。
イシグロ監督も「そうなんですよね。作品が求める尺がある。ゆったりとすべき作品とギュッと圧縮すべき作品、どちらもある」と同調しつつ、「90分という制限があったほうが、いい映画になることもある」とコメント。「『サイダーのように言葉が湧き上がる』は90分以内で作ってほしいというオーダーがあったんですが、コンテにした段階で尺が伸びてしまった。テレビアニメをやってきた経験上、こうやれば90分になるだろうと、二言だったセリフを一言にしたり、エピソードをつなげたりして圧縮した。本作は90分という制限があったからこそ、作品が求める尺になった」と振り返る。平尾監督もシナリオを仕上げた段階で仮アフレコを試みた際には、上映時間が「100分を超えてしまった」と述懐。「90分を超えたあたりから、これ以上長くなるとだれてしまうなという感覚があった」と作品のリズムを考えると、どちらの映画も90分以内が適した時間だったと話していた。
また美術面についても、共感を寄せた2人。平尾監督は「本来のアニメーションの良さって何だろうと考えると、実写では描けない、作り手のダイレクトな気持ちを絵として表すことができること。リアルとして考えれば暗い背景にすべき場面であっても、キャラクターの気持ちがキラキラとしていたら、黒を使わなくてもいい。それがキャラクターの気持ちを表現したり、作品の世界観になると思っている」とこだわりを吐露し、「イシグロさんも作品ごとにいろいろと試されていて、色の考え方にもこだわりがありますよね」と問いかけた。
イシグロ監督は「考え方は同じです」とうなずきながら、「アニメって何なんだ?と考えた時に絶対に絵なんです。アニメの本質は、絵にある」とキッパリ。「絵というのは、必ず意図を持って描くもの。意図を持って描けるのならば、全部に意図を込めればいい。悲しい気持ちになっているキャラクターがいれば、背景でもそれを表現してしまえばいい。目の前に見えているものを、アップデートできる自由がアニメには備わっている。表現の方法は無限大。それくらい自由でいい。それくらいやらないと面白くない」と熱弁すると、平尾監督は「それが大成功しているのが『サイダーのように言葉が湧き上がる』。(アニメとして描くときに)大きい飛躍をしているけれど、美しい。感動を覚えました」と再び賛美していた。
この日は会場に集まった両作品のファンに向けて、プレゼント大会も実施。監督陣が抽選ボックスより座席番号を引き当て、当選者にはポスターやパンフレットなどサイン入りグッズがプレゼントされた。貴重なグッズに会場からも拍手が上がっていたが、最後には平尾監督が「どちらも同じ時期に公開され、コロナ禍という苦しい中で戦い抜いた同志。これからも両作品とも応援してくださるとうれしい」、イシグロ監督が「こうやって集まれることが珍しくなってしまった世の中。互いの監督作品について話しながら、エールを送り合える場を設けられたことがとてもうれしい」と心を込め、大盛況のうちにイベントは幕を閉じた。